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2026.06.25

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【連載第3回】第2回「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」のポイントと実務への影響

2026年5月11日、国税庁にて「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第2回)」が開催され、税務、会社法、M&A実務の3つの視点から、現在の問題点が解説されました。

⾮上場株式の評価⾒直しに関する議論は、事業承継やM&Aを検討されている多くの経営者様にとって極めて関⼼の⾼いテーマでしょう。本記事では、当⽇の有識者からのプレゼンテーション資料をもとに、議論の重要ポイントと今後の実務への影響について解説します。

Ⅰ.税務・⾏政法の視点:通達評価と「時価」の乖離問題

中央⼤学法学部の渋⾕雅弘教授からは、相続税における財産評価の原則と現状の課題について主として以下のような解説が⾏われました。

⚫︎政策的配慮のあり⽅

財産評価の原則は「時価評価」ですが、取引相場のない株式は事業承継の観点から評価額が低く抑えられてきた背景がある 。

税負担の考慮は評価⽅法で⾏うものではなく、基礎控除や税率、特別措置で⾏うべきである。

⚫︎実態との⼤きな乖離

実際の裁判例(令和6 年8 ⽉28 ⽇東京⾼裁)では、評価通達に基づく評価額がM&A による買収額の「約8%」にとどまった事案もある。

⚫︎評価通達の合理化の必要性

評価⽔準の平等は、異なる種類の財産間でも、同じ種類の財産間でも達成されない。評価⽔準の平等を達成するためには、評価通達の内容の合理化が必要である。

Ⅱ.会社法の視点:裁判実務における評価⼿法のトレンド

明治⼤学専⾨職⼤学院会計専⾨職研究科の弥永真⽣教授からは、会社法の下で裁判所が⾏う価格決定の傾向について主に次のような報告がありました。

⚫︎類似業種⽐準⽅式の限界

昭和40〜50 年代の裁判例には類似業種⽐準⽅式の採⽤が散⾒されたが、⽐準割合の算定⽅法や斟酌割合について理論的な根拠や実証的裏付けはなく、また適切な⽐準対象の上場会社を⾒出すことが実質的に不可能である等の理由により、類似業種⽐準⽅式は⽤いられなくなった。

⚫︎DCF法等の主流化

札幌⾼裁(平成17 年4 ⽉26 ⽇)以降、DCF 法や収益還元法による評価を⽤いる裁判例が多数を占めるようになった 。なお、純資産価額⽅式は評価の「下⽀え(下限)」として位置付けられることが多い。

⚫︎税法へのインプリケーション

類似業種⽐準⽅式は上場会社の市場価格を基礎とするが、仮に、⾮上場会社については所有と経営の分離が認められず、上場会社ではそれが認められるとすれば、上場会社の株価から⾮上場会社の株式の価値を推認することの合理性は説明できない。

また、清算価値>継続価値であれば、解散・清算が合理的だが、仮に税法が純資産価額による評価額よりも低い企業価値を前提として株式価値を算定するという考え⽅を採るならば、経済的に不合理な⾏動を企業に動機づけることになりかねず、税法が低い企業価値を前提として株式価値の算定を許容するならば、それは政策上の必要性を考慮する場合であろうから、取引相場のない株式の評価⽅法のレベルで政策上の必要性を考慮するのではなく、例えば事業承継税制などで納税の猶予等の措置を講ずることが筋であろう。

Ⅲ. M&A実務の視点:実際の取引現場での評価⼿法

株式会社⽇本M&A センターの熊⾕秀幸取締役常務執⾏役員からは、主として、中堅・中⼩企業のM&A における株式価値計算において最も多く採⽤されているとされる時価純資産+営業権法について紹介を⾏われました。

⚫︎「時価純資産+営業権法」の採⽤

類似業種⽐準法は独⽴第三者間の取引価格を計算する際の利⽤には適さず、またDCF 法は詳細な事業計画があることが前提となるため、M&A実務では現実の財政状態と経営成績をバランスよく反映できるコスト・アプローチとしての「時価純資産+営業権法」が最も多く採⽤されている。

⚫︎税務上の評価⽅式との主な差異

株式会社⽇本M&Aセンター評価⽅式と税務上の評価⽅式の主な差異は次のとおりである。

  • 路線価ベースではなく時価で⼟地を評価
  • 減価償却不⾜・特別償却・圧縮記帳の調整
  • 賞与引当⾦・退職給付引当⾦の計上
  • 営業権算定上、⾼額な役員報酬・節税⽬的の保険・オペレーティングリース等の節税商品に係る損益・⾮経常的損益について修正

⚫︎営業権の計上

上記の差異の調整の結果、実態利益は増額修正となり、営業権が相応に計上される会社が多い。

朝⽇ビジネスソリューション㈱(朝⽇税理⼠法⼈)の⾒解と今後の対策

今回の有識者会議の資料からは、「現⾏の類似業種⽐準⽅式などの通達評価額」と「実際の裁判例やM&A 実務における株式価値」との間に生じている乖離を是正しようとする⽅向性がうかがえます。

⾃社株の承継やM&A を検討されている経営者様におかれましては、評価⽅法の⾒直し議論の動向を注視しつつ、早めに中⻑期的な事業承継対策を⽴てることが重要です。

⾃社株の現状の評価額や、今後の事業承継に向けた具体的な対策についてお悩みの⽅は、ぜひ朝⽇ビジネスソリューション㈱(朝⽇税理⼠法⼈)までお気軽にご相談ください。

次回に続く(Coming Soon)

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