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2026.06.25

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【連載第2回】自社株の「評価引き下げスキーム」が使えなくなる?~第1回有識者会議に見る事業承継の転換点~

いつも弊法人のブログをご覧いただきありがとうございます。

中小企業のオーナー経営者の皆様にとって、事業承継における最大の課題とも言える「自社株(取引相場のない株式)の評価額」。これまで、様々な手法を駆使して適法に株価を引き下げ、後継者へ承継してきたケースも多いかと思います。

しかし今、従来多く採用されてきた「特定の節税手法(評価額圧縮スキーム)」が根本から使えなくなる可能性が浮上しています。2026年4月20日、国税庁にて「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)」が開催され、現行ルールの抜本的な見直しに向けた議論がスタートしました。 

本連載では、この有識者会議の議論を紐解きながら、皆様の事業承継にどのような影響が及ぶのかを解説してまいります。第2回は、国税庁が問題視し、封じ込めに動こうとしている「3つの代表的な節税スキーム」について解説します。

Ⅰ.ターゲットにされた「3つの評価額圧縮スキーム」

今回の会議資料では、現在の評価ルールの隙間を突いた「恣意的な株価圧縮」として、具体的に以下のスキームが問題視されています。もし現在検討中、あるいは実行済みの対策に含まれている場合は、注意が必要です。

1.グループ法人税制を活用した資産移転スキーム

100%支配のグループ内(親会社→子会社→孫会社など)で、法人税の負担なく不動産などの資産を移転させる手法です 。資産を親会社→子会社→孫会社と移転していくことで親会社の株価が下がり 、さらに、資産を受け取った子会社等が「類似業種比準方式」を適用することで、一層の評価額圧縮が可能となるスキームが問題視されています 。

評価額の『操作可能性』の課題①

【グループ法人税(寄付修正)と評価差額】

2.無議決権株式を用いた「配当還元方式」の濫用

経営の支配権(議決権)を後継者に集中させる一方で、創業者自身は「無議決権株式(種類株式)」を大量に保有する手法です。配当還元方式が適用される親族株主を恣意的に作出し、配当還元方式に基づく安価な株価で無議決権株式を移転し、将来的には普通株式への転換も視野にいれた種類株式制度を濫用したスキームが問題視されています。 


評価額の『操作可能性』の課題②

【種類株式(無議決権株式)を用いた配当還元方式の濫用】

3.役員報酬を活用した「超過収益力の社外流出」

会社の利益(超過収益)を配当として還元せず、多額の役員報酬として経営陣に支払うことで社外へ流出させる手法です。会社の利益や内部留保(純資産)を意図的に減らすことで、株価の計算要素を操作し、評価額を大きく圧縮することが可能になっていた点が問題視されています。


評価額の『操作可能性』の課題③

【超過収益力分の社外流出】

Ⅱ.なぜ今、ルールの見直しが行われるのか?

Ⅱ.なぜ今、ルールの見直しが行われるのか?

これまで国税庁は、こうした行き過ぎた節税スキームに対して、「財産評価基本通達6項(総則6項)」(財産評価基本通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる場合の例外規定)に基づき、個別に否認してきました。

しかし、近年はこの「総則6項」の適用をめぐって訴訟等が増加しており、「どのラインを超えたら否認されるのか分からない」といった観点で、納税者の予見可能性が害されている状況が批判されてきました 。

そこで、「総則6項」に基づく個別の対応に頼るのではなく、制度そのものを見直し、スキーム自体を成り立たなくさせる方向へと舵を切ったと考えられるのです。

Ⅲ. 今後の見直しの方向性:『恣意性・操作性』の排除

有識者会議では、今後の見直しの方向性として以下が明確に掲げられています。

1.配当、利益、会社規模等の操作により、株価を圧縮するスキームを排除し、株価の中立性を確保する 。 

2.配当還元方式について、特例的評価の趣旨を踏まえた見直しを行い、意図的に適用株主を作り出すスキームを排除する 。

Ⅳ.まとめ:これまでの「常識」が通用しなくなる時代へ

今回の見直し議論は、「類似業種比準方式の割合が増えれば株価が下がる」といったある意味での事業承継対策における常識が成立しなくなる可能性を強く示唆しています。

制度改正の詳細や施行時期は今後の議論を待つことになりますが、「現行制度が続く前提での駆け込み対策」は、後々大きなリスクを抱える可能性もあります。 自社株の承継を控えている経営者様、または既に株価対策を実行中の中小企業のオーナー経営者の皆様は、最新の税制動向を踏まえた戦略の見直しが急務と言えるでしょう。

※日本経済新聞(2026年4月20日)によれば、2027年度の税制改正大綱に盛り込んだ上で、2028年1月以降からの適用を目指しているとのことです。

▶︎次回に続く(第3回はこちら)

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