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2026.06.25

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【連載第1回】「取引相場のない株式」の評価方法が大きく変わる?~第1回有識者会議のポイント解説~

いつも弊法人のブログをご覧いただきありがとうございます。

中小企業のオーナー経営者の皆様にとって、自社株(取引相場のない株式)の評価額は、事業承継や相続対策において最も頭を悩ませる問題の一つではないでしょうか。

実は今、この「取引相場のない株式の評価方法」の抜本的な見直しに向けた議論が国税庁でスタートしています。2026年4月20日に「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)」が開催されました。 

本連載では、この有識者会議の議論の行方を追いかけながら、皆様の事業承継にどのような影響が生じるかを分かりやすく解説してまいります。第1回目となる今回は、なぜ今見直しが検討されているのか、その背景と今後の方向性についてポイントをしぼってお伝えします。

Ⅰ. なぜ今、評価方法が見直されるのか?(現状の課題)

現行の評価方式については、以前から会計検査院などがその問題点を指摘していました。

主に以下の2点が大きな課題となっています。

1.評価方式による株価の大きな「かい離」

現在のルールでは、会社の規模(大・中・小)に応じて評価方式が変わります。実態調査によると、類似業種比準価額方式による評価額の中央値は純資産価額方式による評価額の中央値に対して27.2%となっており、純資産価額方式に比して相当程度低く算定されています。その結果、会社規模が大きく類似業種比準方式の割合が高いほど評価額が低く算定される傾向があり、規模の異なる会社間で不公平が生じていると指摘されています。 

2.時代に合わない「配当還元率(10%)」

少数株主等が取得した株式に適用される「配当還元方式」の配当還元率(10%)は、評価通達が制定された昭和39年(1964年)当時の金利水準を基に設定されたまま、現在まで見直されていません 。現在の金利環境において、この率は高すぎ、結果として評価額が不当に低く算定されているおそれがあります 。 

Ⅱ. 評価額を恣意的に下げる「行き過ぎた節税スキーム」の牽制

上記のような評価方式の隙間を突き、恣意的に株価を操作する高度なスキームが横行していることも、見直しの契機となっています。会議資料では、たとえば以下のような事例が問題視されています。

1.グループ法人税制の悪用

100%グループ内で資産を移転させ、法人税の負担なく親会社株式の評価額を恣意的に圧縮する手法  

2.種類株式の濫用

創業者に無議決権株式を大量に持たせ、配当還元方式を適用させるスキーム

これまで国税庁は、著しく不適当な評価に対しては「財産評価基本通達6項(総則6項)」を用いて個別に否認してきましたが、近年は訴訟等が増加しており、納税者の「予見可能性」の観点から制度自体の明確化が強く求められています。 

Ⅲ. 今後の見直しの4つの方向性

有識者会議では、こうした課題を解決するため、以下の4つの観点から評価制度を見直す方向性が示されました。

1.『評価額の崖』の解消

会社規模の区分による不公平をなくし、評価方式間の極端なかい離を排除する。 

2.『今日的観点』からの見直し

金利環境の変化を踏まえた適正な還元率への見直しや、個々の企業の収益力等を反映できる評価手法の検討。 

3.『恣意性・操作性』の排除

配当や利益、会社規模の操作等による株価圧縮スキームを排除し、株価の中立性を確保する。 

4.第三者への事業承継等を見据えた評価

近年増加しているM&Aにおける企業価値評価の実態も踏まえた評価方法の検討。 

Ⅳ.まとめ

今回の見直しにより、これまでの株式の評価実務における常識が、根底から覆される可能性があります。「類似業種比準方式を使えば株価が下がる」「配当還元方式で安く移転する」といったこれまでのセオリーが通用しなくなるかもしれません。

制度改正の詳細な時期や具体的な内容は今後の議論を待つことになりますが、自社株の承継を控えている中小企業のオーナー経営者の皆様は、現行制度と今後の動向の双方を睨んだ早めの対策が不可欠です。

※日本経済新聞(2026年4月20日)によれば、2027年度の税制改正大綱に盛り込んだ上で、2028年1月以降からの適用を目指しているとのことです。

▶︎次回に続く(第2回はこちら)

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